ウナギの蒲焼きの歴史
ウナギの蒲焼きは、元々は関西から始まり、頭を切り落とさずに腹を裂いてそのまま焼いていました。関東ではこれにアレンジを加え、頭を切り落として竹串に刺し、白焼きをした後に蒸しあげて脂肪を抜き、さらにもう一度タレ焼きにしたのが今の蒲焼です。
蒲焼のタレが登場する以前からウナギは食べられていたようですが、その調理法は塩焼きや味噌焼きだったようです。醤油を使ったウナギの調理法として「醤油の掛け焼き」というものがあったようですが、その調理法ではウナギから染み出る脂によって醤油が弾かれてしまうため、身の中まで味をしみ込ませることはできませんでした。
また、蒲焼の誕生には、醤油やみりん、酒、砂糖などの甘み調味料の普及と同時に、生きたウナギをさばく技術がなければ完成しなかったと云われています。享保8年に山岡元隣によって書かれている「増補食物和歌本草」の中には、焼いたウナギを山椒味噌や醤油で食べる事を勧める内容が書かれています。ただし、この時点では現在のようにタレを付けて焼く調理法ではなかったようです。
続いて享保13年に書かれた「料理網目調味抄」の中には、醤油や酒を使ったウナギの調理法が記載されており、その味は現在の味に近かったとされています。寛政12年に書かれた「万宝料理秘密箱」の中にも、醤油や酒を使ったウナギの調理法が見受けられるため、タレを使用した蒲焼の作り方は江戸時代中期以降に確立されたようです。